「8020運動と言う言葉を聞いたことがありますか?」
日本歯科医師会が提唱している「80才になっても20本の歯を残そう」と言う運動です。
これは20本ぐらいあれば入れ歯無しで結構噛むことができるということからこの数字が生まれています。
しかし、現実は日本では8004(80才で4本)ぐらいでほとんどのお年寄りは入れ歯のお世話になるか、歯茎で食事をしているのが現実です。
「長寿者保健栄養調査結果の概要」によりますと100才以上の44.3%が歯肉のみで、47.8%が総入れ歯で自分の歯で噛んでいる人は4%にすぎません。
でも人によっては入れ歯でも歯茎でも長生きできるのならいいのでは?という方もおられるかもしれません。
ただ、年を取って一番の楽しみは「おいしいものを食べること」なわけですから、自分の歯で家族と同じものをおいしく食べられるかどうかは生活の質に大いに影響を及ぼしてきます。
ですから80才で20本の歯が残せて自分の歯で食べられたら結構なことだと思います。
歯を失う2大原因は虫歯と歯周病です。実はこの2つはすでに予防方法がほぼ確立されています。
誰もができる簡単な予防方法を知り、自分のライフスタイルをそれに合わせていくこと。
みなみがおか歯科・矯正歯科では皆さまの歯の健康をサポートいたします。
欧米では12才児のDMFT(虫歯、抜けた歯、詰め物やかぶせ物をした歯、を全部合わせた数)が1以下になっています。しかも1本も虫歯のない子供が半数以上います。日本は数年前までDMFTは4前後と先進国の中では飛びぬけて多かったのですが、最近では2前後とだいぶ良くなってきました。しかしこれは後述するように歯科医療関係者の努力のためとは言い切れませんし、リスクのあるグループは相変わらずの状態です。
それではなぜこんなに虫歯が多いのでしょうか。日本の子供は甘いものを食べすぎるのでしょうか。それとも歯を磨かないのでしょうか。実は砂糖の消費量は欧米に比べると1/2ぐらいです。ブラッシングに関しては確かに十分とはいえませんが、1日2回以上磨く人が大多数になってきています。歯医者はしきりに歯磨きをしなさいと言います。テレビのコマーシャルでも「大切なのはプラークコントロール!」などと宣伝していますが、実はブラッシングだけで虫歯を減らすことができたという報告は今まで一件もないのです。
カギはフッ素にあります。アメリカでは1940年代から上水道にフッ素が入れられるようになりました。今では全世界36ヶ国で上水道フッ素濃度適正化(フロリデーション)が行われていますし、天然に含まれるフッ化物を飲料水に利用している国を合わせると62カ国になります。アジアでもシンガポール、台湾、韓国などではすでに取り入れられ、著しい成果を上げています。
フッ素は地球上にあまねく存在する物質で人間にとっては必須微量元素の1つと言われています。お茶、魚、わかめなど私たちの身の回りの食べ物にも多く含まれており、飲料水にも適正濃度として1ppm前後含まれていると言われています。
この水道水に自然に含まれているフッ化物の濃度を歯の健康にとって最適なレベルに調整すること、つまり多すぎれば減らし、少なければ添加して調整するのが水道水の濃度適正化なのです。しかし残念ながら日本では強硬に反対するグループがあったり、行政の事なかれ主義のためストップしてしまっています。
現在私たちが家庭で利用できる手段としては、フッ素入の歯磨粉とフッ素のうがい薬(フッ素洗口)の2つです。(フッ素の錠剤とか、フッ素入の塩なども外国にはありますが、日本では販売されていません) この2つを上手に利用することによって虫歯の発生をかなり抑えることができます。是非フッ素を上手に利用して虫歯を予防しましょう。
虫歯はフッ素を上手に使うことでほとんど防ぐことができます。
ではブラッシングは何のためにするのでしょうか?
実は歯周病の予防に絶大な効果があるのがブラッシングなのです。テレビのコマーシャルで「プラークコントロール」という言葉を最近耳にすることが多くなりました。化学的、あるいは機械的にプラークを減少させることが一般にプラークコントロールと呼ばれています。ではプラークを少なくすると歯周病は良くなるのでしょうか?
[1] 専門家が器具を用いてプラークを除去した場合
[2] 患者によるブラッシングのみの場合
[3] この両者を併せた場合
[3]の結果がいいのは当然として[1]と[2]を比べると[2]の方が成績がよいのです。
これは単にプラークを除去すると言うだけでなく、ブラッシングによる刺激が重要であることを示しています。ブラッシングによる機械的な刺激が歯肉の抵抗性を増していると考えられます。特に歯と歯の間は普段物理的な刺激を受けにくい場所で「コル」と呼ばれています。この部分にブラッシングによる刺激を与えることが大切です。このための様々な器具が考案されています。例えば歯間ブラシ、フロス等です。
歯周病がある程度進行した人にはこれに加えて専門家によるクリーニングとブラッシングが必要です。